「詩はこころのおやつ」海乃もくずの詩のブログ

文を書いています。活字中毒者です。このブログでは詩 poetry lyricsをつづっていきます

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「まだ雨はやまないのね」

きみは物悲しく

僕の心に語りかけてくる

ぴったりと

 

きみの眼差しが

曇った水滴を透かして

今の状態を読み取ろうとしている

 

もう二度と

もうこれ以上

 

微かな吐息とともに

きみのベッドの柔らかさが

流れて肌に触れる

 

僕たちは何に乗ればいいんだろう

僕たちはなんの武器を手にすればいいんだろう

人々は夢を馬鹿にするくせに

誰一人として現実をとらえない

だからきみは星に手を差し伸べられない

 

もう二度と

もうこれ以上

 

寝返りをうつきみの手を握っても

ガラスの小瓶にとじこめられてしまった今

純白の羽は肌から離れない

 

雨音が聞こえるかい

早く城壁を築き上げて

奴らの侵入を防がなければ

そしていつしか僕は

どこからか運んできた

こぼれるような音のハープときみを

交換することすら考えている

 

そんな話のるつもりなかったのに

君の寝顔を見ていると

心のシェードを下ろしてしまいそうになる

悲しいなんていいたくないよ

こんな惨めな僕を一番見たがったのは

まぎれもなくきみなんだ

 

もう二度と

もうこれ以上

きみが僕だけに口移しで話した

いい香りの昔話

2回聞くと興ざめだ

 

夜が明けたならやっぱり

コーヒー一杯で僕を逃がしてほしい

僕を見つめてごらん

きみに教えられることは全て教えた

きみのために手を汚したくない

 

凪いだ波の姿を映すように

僕の心は静かだ

 

s600403

 

 

 

 

オンガク

いまなにをみてる

いまなにをきいてる

私に教えることができる?

いまなにがいちばんほしいのか

 

犬がくわえてきた片っぽの靴は

あなたが手に入れられるチャンスを表してる

さあ私のために叫んで

素晴らしいロックをかけろって

 

例えばほんとに求めてるものは

諦めてたりしちゃいけないのよ

ほんとに認めてほしいんだから

踊りながら戦いましょう

長いオンガクの旅ね

 

いつかきっとわかるわみんな

あたしたちは良いオンガクがほしい

本気でいいオンガクがほしい

 

あたしたち一人一人が

魂のお告げを聞いたの

もっといいオンガクを聴かないと

欲求不満で死んじまうぜって

その日は朝から晩まで

ロックンロール

明日はジャズで楽しもう

 

我慢することなんてないのね

ホントの自由をつかまえましょ

踊ってるうちに道が拓けるかもしれないし

二又三又に別れるかもしれない

 

大人の作ったお金でできたマスコット

あまり劇には必要ないわ

人間が楽しくしている場面で

マスコットはうまく振る舞えない

もし出来ると思う人がいたら退場!

私たちの舞台には必要ないわ

 

あたしたちはオンガクのロム

オンガクのためにどこまでも旅する

最高の仲間たちと全身全霊をこめて

いいオンガクを聴きながら踊るのよ

音があなたを包み込むのがわかるでしょ

 

最高にいいオンガクを求めて

あたしたちは今日も旅する

s600122

 

あなたが好きです

 

気高さのなかにそこはかとなく漂う

色気のあるあなた

 

どんなに忙しくても

うなじに微かな香りを

保っているあなた

 

理想の女性像をもっているあなた

 

愛するものを愛するひとに譲れるあなた

イヤなひととは戦ってでも奪い合うあなた

 

歴史をもっているあなた

どんなに重い過去でも

そのために強く生きられるあなた

 

けんかができるあなた

売っても買っても勝っても負けても

戦うことを躊躇しないあなた

 

こころに野心を秘めているあなた

 

恋を知らないあなた

何もかも手探りで歩いていくあなた

 

プライドをもつあなた

しっかりした自分と限りない優しさが

同居しているあなた

 

そんなあなたが大好きです

 

s600311

 

 

 

 

☆聖夜の扉

僕は寒々とした部屋の窓から見える

月に君の面影を描いている

この前ポストに投函した

クリスマスカードを気にしているのも

君に夢中な証拠なんだ

 

だけどもし僕がこの

冷え切った氷に囲まれた世界に

落とされる運命ならば

僕の愛に通じる扉は

いつまでも開かれることを知らないままだ

 

今宵君が扉を叩いてくれる事を祈って

僕のありったけの愛をグラスに注ごう

 

君は今頃家に着いて

残った仕事に目を通しているんだろうか

それともひとりでいる寂しさを紛らわすため

爪を噛むことを避けて誰かにずっと

電話しているんだろうか

 

だけどもし君が今

そばにこの僕を見出したならば

君は僕に何を望むのだろう

僕の愛に通じる扉は

やっと眠りから覚めて静かに立っている

 

今宵君が扉を押してくれる事を祈って

僕のありったけの涙をグラスに注ごう

 

僕はカレンダーを目をやって

まもなく訪れるはずの

クリスマスイブまでの日数を数える

まだ僕が心からメリークリスマスと

いったことがないといったら

君は私も、と言ってくれるだろうか

 

クリスマスソングがひびくこの街角

星屑たちが覚えていたところによれば

君のひとりぼっちのささやきは

空を仰いだほかのどんなうたより

ずっと切なくて

君を見守りたくなったそうだよ

 

お願いだ

そこで目を伏せないでおくれ

君のその未来を見つめる目が

僕の扉を強く動かしているのが

わからないの   いとしい人

 

僕の愛に通じる扉を

強く強く揺さぶるのは

君だけ

今すぐに押し開いて

 

今宵君が扉を開けてくれる事を祈って

僕のありったけの夢をグラスに注ごう

今宵君が僕を抱きしめてくれることを祈って

僕のありったけの愛をグラスに注ごう

 

 

h011209

SHE

あの子は

小さなガラス細工

 

シルクのような輝く肌の

はずかしがりやさん

 

細い手足

控えめな声

 

いったい何をささげれば

こちらをふりむいてくれる?

 

蓬莱の玉の枝?

まるでかぐや姫

 

触れることが出来なくても

いつまでもそばにいる

 

あの子のKnightを気取ろう

 

 

 

椎蘭

 

 

瞳をかえしてよ

かなり厳しい寒さから立ちあがったのに

あんたはまだ3分きっかりの

砂時計を疑っている

 

一人でここまで這い上がったのよ

伸びすぎた髪が肩に絡みつき

あんたという木が砂漠にはえ

 

片目がないのよ

いつまでも待っていられないのよ

資料を元にしてサソリを愛したの?

あんたには謎がありすぎる

 

もうこれ以上走れないのに

体温計にあんたのDNAがついている

切った爪から涙が零れる

 

通り過ぎる車が

あたしの影をはねていく

 

意味の無いあたしは

目はないけれど見える

肖像画いっぱいに映し出される

あんたの視線が作る世界

 

懺悔の時間ね

あたしは今月面に立った

賢いあんたは言われた通り

教科書に祈りを捧げる

 

あたしは下へ下へと落ちていくからね

みんなの中心に立ったあんたは

それからうわさと心中する

 

何か言わないと唇が切れそう

核の中の瞳をついに取り戻したわ

あんたの魂が海の掃除をする頃

二つ目のあたしは反旗を翻す

 

さまよえるあたしが戻り

感情のない夢見る子羊を

すべて焼き払ってしまう

 

通り過ぎる車が

あたしの影をはねていく

はねていったんだ

 

s591122

寂しいひとへ

君が僕と知り合ってすぐの頃

あどけなくて

まるで小さな花忘れな草

 

やがて僕らが

付き合い出したこと

まちに広まって

友だちは祝ってくれたけど

言葉の裏では羨んでいた

 

僕たちはあの頃

誰よりも幸せだったと信じる

だけど一つだけ

リリが君に教えたこと

あれが破滅を導き出す公式

 

君が煙草の煙くゆらしてる

僕らの夢も

僕の想いも

ひどくけむたいよ

 

君が形のいい脚を組んで座り

もの慣れたようにその指に

煙草をはさみ火をつける

 

まるで忘れな草

じりじりと自分の葉を

いぶしているように見えたものさ

 

愛が全てって言葉

嘘っぱちだってよく知ってる

僕は君の銀のシガレットケース

羽虫のようにまわりをぶんぶんと

飛び回るしか能がなかった

 

面白くない僕と不貞腐れた君

僕らのまわりは揺れる煙

 

君が煙草の煙くゆらしてる

ひどく悲しいね

 

あれから君はまちに出て

煙草の似合う男を

見つけたんだね

 

僕は窓辺の植木鉢に

枯れた忘れな草をみた

 

君が煙草の煙くゆらしてる

僕らの夢も

僕の想いも

ひどくけむたかったよ

ひどく悲しかったよ

 

 

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