「詩はこころのおやつ」海乃もくずの詩のブログ

文を書いています。活字中毒者です。このブログでは詩 poetry lyricsをつづっていきます

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「まだ雨はやまないのね」

きみは物悲しく

僕の心に語りかけてくる

ぴったりと

 

きみの眼差しが

曇った水滴を透かして

今の状態を読み取ろうとしている

 

もう二度と

もうこれ以上

 

微かな吐息とともに

きみのベッドの柔らかさが

流れて肌に触れる

 

僕たちは何に乗ればいいんだろう

僕たちはなんの武器を手にすればいいんだろう

人々は夢を馬鹿にするくせに

誰一人として現実をとらえない

だからきみは星に手を差し伸べられない

 

もう二度と

もうこれ以上

 

寝返りをうつきみの手を握っても

ガラスの小瓶にとじこめられてしまった今

純白の羽は肌から離れない

 

雨音が聞こえるかい

早く城壁を築き上げて

奴らの侵入を防がなければ

そしていつしか僕は

どこからか運んできた

こぼれるような音のハープときみを

交換することすら考えている

 

そんな話のるつもりなかったのに

君の寝顔を見ていると

心のシェードを下ろしてしまいそうになる

悲しいなんていいたくないよ

こんな惨めな僕を一番見たがったのは

まぎれもなくきみなんだ

 

もう二度と

もうこれ以上

きみが僕だけに口移しで話した

いい香りの昔話

2回聞くと興ざめだ

 

夜が明けたならやっぱり

コーヒー一杯で僕を逃がしてほしい

僕を見つめてごらん

きみに教えられることは全て教えた

きみのために手を汚したくない

 

凪いだ波の姿を映すように

僕の心は静かだ

 

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