「詩はこころのおやつ」海乃もくずの詩のブログ

文を書いています。活字中毒者です。このブログでは詩 poetry lyricsをつづっていきます

寂しいひとへ

君が僕と知り合ってすぐの頃

あどけなくて

まるで小さな花忘れな草

 

やがて僕らが

付き合い出したこと

まちに広まって

友だちは祝ってくれたけど

言葉の裏では羨んでいた

 

僕たちはあの頃

誰よりも幸せだったと信じる

だけど一つだけ

リリが君に教えたこと

あれが破滅を導き出す公式

 

君が煙草の煙くゆらしてる

僕らの夢も

僕の想いも

ひどくけむたいよ

 

君が形のいい脚を組んで座り

もの慣れたようにその指に

煙草をはさみ火をつける

 

まるで忘れな草

じりじりと自分の葉を

いぶしているように見えたものさ

 

愛が全てって言葉

嘘っぱちだってよく知ってる

僕は君の銀のシガレットケース

羽虫のようにまわりをぶんぶんと

飛び回るしか能がなかった

 

面白くない僕と不貞腐れた君

僕らのまわりは揺れる煙

 

君が煙草の煙くゆらしてる

ひどく悲しいね

 

あれから君はまちに出て

煙草の似合う男を

見つけたんだね

 

僕は窓辺の植木鉢に

枯れた忘れな草をみた

 

君が煙草の煙くゆらしてる

僕らの夢も

僕の想いも

ひどくけむたかったよ

ひどく悲しかったよ

 

 

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