寂しいひとへ
君が僕と知り合ってすぐの頃
あどけなくて
まるで小さな花忘れな草
やがて僕らが
付き合い出したこと
まちに広まって
友だちは祝ってくれたけど
言葉の裏では羨んでいた
僕たちはあの頃
誰よりも幸せだったと信じる
だけど一つだけ
リリが君に教えたこと
あれが破滅を導き出す公式
君が煙草の煙くゆらしてる
僕らの夢も
僕の想いも
ひどくけむたいよ
君が形のいい脚を組んで座り
もの慣れたようにその指に
煙草をはさみ火をつける
まるで忘れな草が
じりじりと自分の葉を
いぶしているように見えたものさ
愛が全てって言葉
嘘っぱちだってよく知ってる
僕は君の銀のシガレットケース
羽虫のようにまわりをぶんぶんと
飛び回るしか能がなかった
面白くない僕と不貞腐れた君
僕らのまわりは揺れる煙
君が煙草の煙くゆらしてる
ひどく悲しいね
あれから君はまちに出て
煙草の似合う男を
見つけたんだね
僕は窓辺の植木鉢に
枯れた忘れな草をみた
君が煙草の煙くゆらしてる
僕らの夢も
僕の想いも
ひどくけむたかったよ
ひどく悲しかったよ
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